ガストンルルー「オペラ座の怪人」はどんな話?あらすじの簡単な解説と考察

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「オペラ座の怪人」は20世紀初期にフランスの作家ガストン・ルルーによって書かれた小説です。

今では劇団や映画などのメディアで有名ですが、原作の小説に出てくるシーンを省いたものがほとんどです。

この記事では、オペラ座の怪人の簡単なあらすじと考察をまとめていきます。

 

ガストンルルー「オペラ座の怪人」はどんな話?あらすじを簡単に解説

有名な音楽家の娘クリスティーヌ・ダーエーは幼いころからオペラ座と一緒に各地を旅し、途中でラウルという男の子と友達になります。

父親亡き後はオペラ座に身を置き、ソプラノ歌手として歌を歌い続けながら育ちます。

ある時からクリスティーヌは「音楽の天使」の声を自室で聞き始め、彼の指導にしたがって歌手としての腕を上げていきます

他の歌手たちを出し抜いて上達したクリスティーヌは、突然声が出なくなったオペラ女優の代わりに主役として舞台に立ち、その実力は喝采を浴び有名になるのでした。

彼女のオペラを見た観客の中には、幼い頃友達だったラウルの姿があります。

ラウルは美しく育ったクリスティーヌに心を奪われ、彼女もラウルに惹かれるようになった時です。

ずっと愛ゆえにクリスティーヌを支えていた「音楽の天使」ことオペラ座の怪人は嫉妬に狂うのでした。

 

【ネタバレ注意】ガストンルルー「オペラ座の怪人」の結末

オペラ座の怪人ことエリックはクリスティーヌを地下にさらい、何とか自分を愛するようにさせようとします。

二人で生活していたある日、クリスティーヌはエリックが常につけている仮面を取るのでした。

その下には先天的にゆがんだ醜い素顔が隠されていて、最初はクリスティーヌは驚くものの、最後には彼女はエリックの額にキスをし、彼も彼女に同じ行動を取ります。

「人生で額に口づけをしたのも、もらったのも初めて。母親ですらしなかった」と生まれて初めて愛を受けたエリックは、クリスティーヌを開放し、ラウルとともに暮らすことを許します。

ラウルとクリスティーヌは駆け落ちし、劇団をあとにします。

その後はエリックの気配や噂はオペラ座から消え、言い伝えとなって残るのでした。

 

ガストンルルー「オペラ座の怪人」を考察

オペラ座の怪人にはいくつかのテーマがありますが、その最も大きなものは「愛」です。

特に「2人の人間の間では愛は無理やり育むことはできない」ことを、物語は怪人とクリスティーヌを使って私たちに見せてくれます。

それと同時に「すべての人間には愛が必要」とエリックの悲しいまでの姿が、観衆の心にそのメッセージを訴えかけてきます。

もう一つの大きなテーマは「勇気」で、人間が持ちうる美徳として物語の中に書かれています。

クリスティーヌがさらわれたと知ったラウルは危険を顧みずに、真っ先にオペラ座の地下へ彼女を助けに行きます。

クリスティーヌが見せる勇気は自己犠牲とも受け取ることができますが、助けに来たラウルが逆に怪人に捕まってしまった時に、怪人と結婚することを条件に彼を助け出そうとするのです。

しかし作品中最も尊い勇気を見せるのはエリックで、自身の呪われた生と魂を孤独から何とか解放しようと足掻く彼自身との闘いです。

愛を知らず孤独の中にずったいたエリックに同情する評論家も多く、作品の題名の通り「嫉妬」から「許す」ことまで覚えた彼が最も人間として成長する物語になります。

読んだ後に本と目を閉じてストーリーを反芻すると、エリックほどの主人公は文学史上あまりいないことに気づく人も多いのではないでしょうか。

 

ガストンルルー「オペラ座の怪人」のあらすじと考察についてまとめ

登場人物の誰もが特徴的で、各人物の相関図がわかりやすいのでスムーズに物語が頭に入ってくる作品です。

本を読む前に物語やパリのオペラ座の雰囲気が知りたい方は、映画や劇団四季が行うミュージカルから作品に触れるのも良いかもしれません。

しかし小説の方が各人物をより深く掘り下げることができるので、最もおすすめです。