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シェイクスピア「マクベス」の劇中に登場する名言を10選、意味とともに紹介していきます。
「自分が最悪の敵となる」というテーマの中で、登場人物たちはどのように胸中を表現してくれるのでしょうか?
聞いたことのある名セリフもあるので、ご覧くださいませ。
【関連】マクベスの簡単なあらすじ
- シェイクスピア「マクベス」の名言10選と意味・伝えたいことを解説
- 名言①「取り返しのつかぬことなど 考えてみたってしかたがない 終わったことは終わったこと。」
- 名言②「まだ血の匂いがする。アラビア中の香料を集めても、この小さな手をきれいにできないわ。ああ、ああ、ああ、」
- 名言③「消えろ、消えろ、束の間の灯火!人生はたかが歩く影、哀れな役者だ、出場のあいだは舞台で大見得を切っても袖へ入ればそれきりだ。白痴のしゃべる物語、たけり狂ううめき声ばかり、筋の通った意味などない。」
- 名言④「何をやったかなどより、おれは自分を忘れてしまいたい。」
- 名言⑤「きれいは穢い、穢いはきれい。」
- 名言⑥「他の有象無象の連中に剣を浴びせるがいい、おれの命には呪(まじな)いがかかっている。女から生まれた者にはわしを殺(や)れぬ。」
- 名言⑦「冷血漢たれ、勇敢で、大胆であれ。人間の力を笑い飛ばせ、女から生まれた者は誰であれマクベスを傷つけることはできないだろう。」
- 名言⑧「世間を欺くためには世間のように振舞いなさい。目に、手に、言葉に歓迎の意をあらすのです。罪なき花のように見えて、その下に蛇をしのばせなさい。」
- 名言⑨「ええい、星も光を消せ! この胸底の黒ずんだ野望を照してくれるな。」
- 名言⑩「しかしあなたの性格が心配だ。一気にやるには、あなたには、人間の優しさというミルクがあふれている。」
- シェイクスピア「マクベス」の名言についてまとめ
シェイクスピア「マクベス」の名言10選と意味・伝えたいことを解説
この物語は主人公マクベスが小心ながらも魔女(=まやか)の言葉を信じたばかりに、野心との葛藤と現実への恐怖と向かっていく様を見ることができます。
彼の目を通して物語が展開されるので、直接劇に登場しないキャラクターのセリフは少なめです。
名言①「取り返しのつかぬことなど 考えてみたってしかたがない 終わったことは終わったこと。」
夫のマクベスをそそのかし、寝ている王を剣で殺した後のマクベス夫人の言葉です。
自分がしてしまったことにおののくマクベスよりも、物語の初期に登場するこのシーンでは夫人の方がはるかに強気だったのがうかがえます。
この「終わったことは終わったこと」(英語で”What’s done, is done”)はよくあるフレーズの一つとして現代では認識されていますが、歴史上ではこのマクベス夫人が一番最初に口にした人物となります。
名言②「まだ血の匂いがする。アラビア中の香料を集めても、この小さな手をきれいにできないわ。ああ、ああ、ああ、」
西洋文学において罪悪感を表す文例として最も有名なセリフです。
夢遊病にかかってしまったマクベス夫人が舞台裏で自殺をする前につぶやきます。
このセリフは王を殺した直後のマクベスの言葉「少し水があればこの行為も洗い流せよう」との見事な対比となるのでした。
名言③「消えろ、消えろ、束の間の灯火!人生はたかが歩く影、哀れな役者だ、出場のあいだは舞台で大見得を切っても袖へ入ればそれきりだ。白痴のしゃべる物語、たけり狂ううめき声ばかり、筋の通った意味などない。」
マクベスが一人で心の内を告白するシーンで出てくるこの名言は、マクベスの中でも最も有名なものです。
マクベス夫人が自殺し、兵が城を攻めていると聞かれた直後に出てきます。
人生を「歩く影」のように虚しいものとうたい、その「哀れな役者」が自分自身であるとも表現するシーンです。
シェイクスピアはここで人生と劇の2つを取り、人生の意味への問いと劇が見せる幻想を表現するのでした。
名言④「何をやったかなどより、おれは自分を忘れてしまいたい。」
この名言はマクベスが眠っている王を刺殺した後につぶやくセリフです。
日本語への翻訳者によって言葉選びは異なってきますが、彼が初めて不正をはたらいた後に「自分が無意識であればよかったのだ」と自分の行為に責任を持つのを怖がっている様子を表します。
この時点でマクベスは道徳に反する道を歩み始めることとなったと悟るのでした。
名言⑤「きれいは穢い、穢いはきれい。」
この名言と言えばマクベスの3人の魔女で、シェイクスピアを知っている人ならすぐにわかるほど有名です。
一見重要な意味を持ちえない一節ですが、それこそがシェイクスピアが表現したかった物語の中心となるテーマなのでした。
「外見のみで判断することなかれ」という警告で、後にマクベスが野心のために正当化する行為と、第三者から見た卑劣さを象徴します。
物語のメインテーマを一言で言うとしたらこのセリフとなる、と多くの評論家たちが考察するほどです。
名言⑥「他の有象無象の連中に剣を浴びせるがいい、おれの命には呪(まじな)いがかかっている。女から生まれた者にはわしを殺(や)れぬ。」
マクダフがマクベスに決闘を申し込んだときに出てくる名言です。
3人の魔女がマクベスに与えた予言を信じ、己の無敵さをマクダフに叫ぶものの、マクダフは帝王切開によって生まれたために見事マクベスを倒すのでした。
「呪いがかかった命」は魔法に満ちた良い人生をシェイクスピアの時代では意味していたものの、現代のより深い解析では「かろうじて死を免れた生」になります。
名言⑦「冷血漢たれ、勇敢で、大胆であれ。人間の力を笑い飛ばせ、女から生まれた者は誰であれマクベスを傷つけることはできないだろう。」
物語を知る人ならこの名言は誰のものかわかる人が多いでしょう。
森の魔女の言葉ですが、これがマクベスに己は無敵であるという錯覚を持たせることになります。
この慢心さが最初の予言である「バンクォーの子孫が王になる」ことを忘れさせてしまうのでした。
名言⑧「世間を欺くためには世間のように振舞いなさい。目に、手に、言葉に歓迎の意をあらすのです。罪なき花のように見えて、その下に蛇をしのばせなさい。」
この不穏な名言は、マクベス夫人が夫にかける言葉です。
ダンカン王が凱旋した後の宴で仕掛ける罠と、その語の王を暗殺するために無害な花のような振る舞いや外見を保ちながら、蛇という野望を持ち続けるようにと助言するのでした。
名言⑨「ええい、星も光を消せ! この胸底の黒ずんだ野望を照してくれるな。」
神の創造物である自然に語りかけるマクベスの名言です。
光と闇の対比がセリフ内で見られ、すでにこの時点ではマクベスは自分の行為が薄汚く、背徳的だと自覚しているのがわかります。
更なる力を渇望するものの、神に対しては恐れを抱くというアンバランスさを表現します。
野心のままに動くか、モラルを重んじるかで前者を選択してしまったため、自分自身を隠すように嘆くのでした。
名言⑩「しかしあなたの性格が心配だ。一気にやるには、あなたには、人間の優しさというミルクがあふれている。」
マクベス夫人の最初のセリフでもあるこの名言は、彼女の目に映る夫マクベスの性格と彼への評価を表します。
マクベスを殺人鬼になるほどの残酷性は無く、本質では優しい人間と思いつつも、夫人にとってはそれが彼の「弱さ」そのものとして解釈するのでした。
「人間の優しさというミルク」という表現が「授乳を必要とする赤子」を連想させ、マクベスの男らしさを否定する意味を持ちます。
シェイクスピア「マクベス」の名言についてまとめ
マクベスは己の心との葛藤が物語のテーマとなるので、独り言のモノローグやマクベス夫人の焚きつけが多くなります。
名言以外は物語を進めるものがほとんどとなるため、より人間心理と真っ当だった人間が内省する様子の方が深みや名言が出る内容なのが特徴です。