シェイクスピア「オセロー」の名言10選と意味・伝えたいことを解説

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オセローからの名言の特徴は、寡黙な主人公よりも同僚のイアーゴのものが圧倒的に多いことです。

しかしその分シェイクスピアの描く「策士」の頭の中が覗けます。

この記事ではシェイクスピアの悲劇の一つ「オセロー」の名言10選と、その解説を伝えます。

【参考】シェイクスピア「オセロー」の簡単なあらすじ

 

  1. シェイクスピア「オセロー」の名言10選と意味・伝えたいことを解説
    1. 名言①「名声は空虚で最も誤った評価。多分にその価値も無いのに受け、また理由もないのに、失ってしまう。」
    2. 名言②「過ぎた不幸を嘆くは、新しき不幸を招く近道なり。」
    3. 名言③「だれだって間男ぐらいいたしますわ、夫が世界の王さまになれるんですもの。」
    4. 名言④「おまえを殺す前に、接吻したな。今となっては、こうして、わが身を手にかけ、接吻しながら、死ぬだけ。」
    5. 名言⑤「盗まれた者は、笑顔でいれば、盗人から何かを盗む、無用な嘆きを吐くものは、結局は、自分を盗むことになる。」
    6. 名言⑥「あれに気をつけな、ムーア。あれは父親をだましたのだ、次はおまえかもな。」
    7. 名言⑦「とるに足らないことだわ」
    8. 名言⑧「空気のように軽いものでもいったん嫉妬にはまってしまえば証拠も証拠、強力なことは聖書の文句以上。効くぞ、こいつは。」
    9. 名言⑨「閣下、嫉妬にはお気をつけなさいまし。そいつは緑色をした怪物で、人の心をもてあそび、これを餌食にします」
    10. 名言⑩「内面(うちづら)の思いが、外面(そとづら)に表れるべきものなら、おれはすぐに、心臓をとりだして袖にかけ、カラスにつつかせてやろう。おれは見かけとは違う男だ。」
  2. シェイクスピア「オセロー」の名言についてまとめ

シェイクスピア「オセロー」の名言10選と意味・伝えたいことを解説

シェイクスピア「オセロー」各シーンでの名言を解説していきます。

それぞれの登場人物は何を思って胸中を吐き出したのでしょうか?

特にオセローの名言は悲劇にふさわしい程悲しく切ないものとしても有名です。

 

名言①「名声は空虚で最も誤った評価。多分にその価値も無いのに受け、また理由もないのに、失ってしまう。」

キャシオーに向けたイアーゴの有名なセリフ。

皮肉にも名声は理不尽に得るうえ同様に奪われると説いていますが、後にイアーゴはキャシオーの地位を策略により奪うことになります。

得る者も相応の人間ではない場合が多く、失う者は落ち度がないにもかかわらずはぎ取られてしまうから虚しいものでしかないと伝えます。

 

名言②「過ぎた不幸を嘆くは、新しき不幸を招く近道なり。」

これもオセロー屈指の名言の一つです。

デスデモーナが父親のブラバンショウに歯向かい、オセローとともに駆け落ちした後に公爵が落ち込んだ彼におくるアドバイスとなります。

言葉を変えると、恨みにすがってばかりいては近いうちにさらにトラブルを起こす源となる、といった内容となります。

これも人の世の真理として、これからも語り継がれる一節となるでしょう。

 

名言③「だれだって間男ぐらいいたしますわ、夫が世界の王さまになれるんですもの。」

エミリアが結婚や誠実性について相談してきたデスデモーナに放つセリフです。

間男とは、夫がすでにいる女がほかの男と逢引することを意味します。

エミリアはパートナーが不誠実でも、何か得られる利益があるならば正当化されると暗にデスデモーナにメッセージを送っているのです。

 

名言④「おまえを殺す前に、接吻したな。今となっては、こうして、わが身を手にかけ、接吻しながら、死ぬだけ。」

主人公オセローの最期の言葉で、殺した直後のデスデモーナの口にキスをする前に出てくる言葉です。

観衆は直後オセローが妻を殺した同じ剣で自らを指し、デスデモーナの死体に覆いかぶさるようにして命を絶ちます。

オセローはもしデスデモーナを深く愛していなければ彼女が死ぬ必要が無かったのだと考えます。

彼女を誤解したまま殺してしまった罪に対し、自殺する前に彼女への口づけをすることで、彼女の確かな愛に応えるのでした。

 

名言⑤「盗まれた者は、笑顔でいれば、盗人から何かを盗む、無用な嘆きを吐くものは、結局は、自分を盗むことになる。」

意味深な名言ですね。

これは公爵がデスデモーナに恥をかかされたと嘆く父、ブラバンショウに語りかけるときに聞くことができます。

公爵が伝えたいことは、もし何かを失ったとしても笑顔でいられるならば、その苦痛を負わせた人間よりも優っているという勇気づけるメッセージです。

同時に、過失は嘆けば嘆くほど更なる苦難をもたらすとの忠告でもあるのでした。

 

名言⑥「あれに気をつけな、ムーア。あれは父親をだましたのだ、次はおまえかもな。」

この名言はデスデモーナの父親がオセロに投げかけた忠告として出てきます。

公爵からのアドバイスを受けるだけあり、かなり娘に恨みと憎しみを抱いているのがうかがえます。

人種の差を超えた純愛を未だ信じられないまま、娘だけならずオセローにも負の矛先が向かうのでした。

オセローへの忠告というよりも呪いとして受け取ることができ、後に妻の不義を疑うようになる彼の耳にこだまのように残ることになります。

 

名言⑦「とるに足らないことだわ」

吐き捨てるようなこのセリフはエミリアのものですが、シェイクスピア評論家たちの間では彼の人生観や劇を通じるテーマの一つだと考えられています。

対立する勢力に加わることも反対することもなく、諦めの境地に入った登場人物の心境を表現する名言の一つです。

 

名言⑧「空気のように軽いものでもいったん嫉妬にはまってしまえば証拠も証拠、強力なことは聖書の文句以上。効くぞ、こいつは。」

イアーゴの勝ち誇った様子を十二分に表現するこの一節は、デスデモーナがうっかりオセローからもらったハンカチを落としてしまい、イアーゴの手に渡った時に聞くことができます。

嫉妬にかられた人間にはハンカチのような一見なんともない物でも、聖書以上に力を持つようになることを彼がすでに知っているのがわかるのです。

シェイクスピアが表現したいのは、嫉妬心がいかに目を曇らせるかの一点でした。

 

名言⑨「閣下、嫉妬にはお気をつけなさいまし。そいつは緑色をした怪物で、人の心をもてあそび、これを餌食にします」

このセリフは物語を通して、イアーゴの最も有名なものでしょう。

オセローに嫉妬には気を付けるようにとイアーゴが忠告するシーンの中にあります。

「嫉妬」を「緑色の怪物」としてシェイクスピアは表現していますが、後の文学・劇において「嫉妬心=緑」というシンボルを築き上げた重要なたとえです。

 

名言⑩「内面(うちづら)の思いが、外面(そとづら)に表れるべきものなら、おれはすぐに、心臓をとりだして袖にかけ、カラスにつつかせてやろう。おれは見かけとは違う男だ。」

最後の『おれは見かけとは違う男だ』は英語では”I am not what I am”として、シェイクスピアの劇の中でもトップ5に入るほど重要性を持つものと考えられています。

ロドリゴがイアーゴの目的に気づかないまま踊らされている様子をあざ笑い、彼に放つセリフです。

人間の内なる性質が必ずしも外に現れることはないという意味で、己の狡猾さと邪悪さを認める内容の発言ですが、このフレーズはそれ以上の意味を持ちます。

聖書の中に「私は私。これが私なのだ」(英語で”I am what I am”)という聖句と逆の対比を見ることができるからです。

 

シェイクスピア「オセロー」の名言についてまとめ

他の悲劇にも負けず、オセローも歴史に残る名言を残しています。

特に「とるに足らないこと」と「おれは見かけとは違う男だ」の二節は、シェイクスピアなりに世の理を解釈したものを劇で表したと受け取れるので、非常に興味深い作品です。