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「オセロー」はシェイクスピアの四大悲劇の一つですが、ほかの物語よりも登場人物が少なく、比較的わかりやすい話になっています。
この記事ではオセローのあらすじと、シェイクスピアがストーリーを通して伝えたかったメッセージの解説と考察を紹介していきます。
シェイクスピア「オセロー」はどんな話?あらすじを簡単に解説
主人公オセローはヴェニスの軍人ですが、北アフリカから来たムーア人です。
異国出身であることに加え肌の色が周りの人と違うため、重要な地位にいるにかかわらず「よそ者」とみられてしまいます。
オセローは若いヴェニス女性のデスデモーナと結婚します。
彼の側近であるイアーゴはオセローを嫌っており、自分を出し抜きオセローの抜擢により出世したキャシオーのことも良く思っていませんでした。
己の憎しみに捕らわれるイアーゴはデスデモーナがキャシオーと密会している嘘を作り上げ、オセローに伝えます。
捏造の信憑性を上げるため、イアーゴはオセローが以前デスデモーナに贈ったハンカチを自分の妻エミリアに盗ませ、キャシオーの部屋に仕込むのでした。
ハンカチが動かぬ証拠となり、オセローは自分の妻が同僚と逢引きをしていると確信します。
【ネタバレ注意】シェイクスピア「オセロー」の結末
嫉妬と怒りに取りつかれたオセローはイアーゴにキャシオーの殺害を命じます。
自分の手を汚したくないイアーゴは友人であるロドリゴにキャシオーを殺すよう説得しますが、真実が明るみに出ることを恐れた彼は悩んだ末ロドリゴを殺害し、キャシオーは足に剣で切られた傷を負います。
一方激情したオセローは妻のデスデモーナの話を聞こうともせず、彼女を窒息させて殺してしまうのでした。
ハンカチを盗んだ当事者のエミリアがオセローにイアーゴの企みについて話しますが、その結果夫のイアーゴに殺されてしまいます。
騙されたことを知ったオセローはイアーゴをナイフで殺し、デスデモーナの後を追い自害して物語は終わります。
シェイクスピア「オセロー」を考察
シェイクスピアの他の劇と異なり、主人公のオセローは受動的なキャラクターとして描かれます。
そんなオセローや同僚のキャシオー、友人のロドリゴをうまく操って自分の目的を達成していくのがイアーゴで、オセローとは対照的になります。
イアーゴは周到に周りの人物の長所、短所を分析し、有利になるように駒を動かしていく策士なのです。
企てに長けるイアーゴを最後まで「正直者」と信じ続けたオセローは、デスデモーナとの愛と信頼の象徴であるハンカチをも悪用されてしまいます。
もう一人印象に残る登場人物がデスデモーナで、夫であるオセローの間違いを指摘するよりも自分の死を受け入れるという、一見複雑な行動を見せます。
しかし物語の序盤ではキャシオーを助ける優しさや、自分の父親に立ち向かう勇敢さを持ち合わせる高貴な人物です。
オセローとデスデモーナ、イアーゴとエミリアの二組の夫婦は前者が純粋な愛、後者が不信感とミソジニーを表す対比となって物語を進めます。
もう一つ見られる対比は、文中に頻繁に現れるオセローの外見についての描写でしょう。
肌の色が黒いオセローと白人であるイアーゴですが、誰もが持つ一般的なイメージである「黒=悪、白=光、正義」を見事に覆した物語となっています。
これはある意味シェイクスピアが私たち観衆が持ちうる固定観念を「騙した」とも受け取ることもできると言えましょう。
まとめ
オセローは登場人物こそ少ないものの、その分一人一人を深く掘り下げることができる作品です。
高尚でストイックな軍人として描かれるオセローも、見たものをそのまま信じてしまった故弱妻殺しの罪を犯してしまう脆さが実に人間的に書かれ、共感できる点となっています。