シェイクスピア「ハムレット」の名言10選と意味・伝えたいことを解説

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シェイクスピア作の悲劇「ハムレット」を知らなくても、劇中のセリフは世界的に有名なものが多いため、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

この記事ではハムレット内の名言10選とその背景や意味を解説していきます。

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シェイクスピア「ハムレット」の名言10選と意味・伝えたいことを解説

ハムレットに登場する名言を最も有名なものから紹介していきます。

「それ、聞いたことある!」、「このセリフはハムレットからだったのか」と新しい発見があるかもしれません。

 

名言①「生きるべきか死ぬべきか。それが問題だ。」

これはハムレットが耐えられないほどの苦痛を伴う「生」に対し、「自殺」という選択は倫理的に間違ってはいないのではないかと自信に問いかけるときの名言です。

このセリフを独り言としてつぶやく場面での彼にとっては、後者の方がより高貴なもののように感じるのでした。

叔父のクローディアスへの復讐をなかなか遂げることができない自分に怒りを感じつつも、叔父の殺害を諦めるかの選択のに揺れる彼の葛藤を表します。

専門家の中には、物語の価値そのものを指しているという見方をする人もいるほどです。

 

名言②「何より大切なのは、自分自身に誠実でいるということだ。そうすれば、夜の後に昼が続くように、他の誰に対しても誠実になれるはずだ。」

息子のレアティーズに向けて宰相のポローニアスがかける言葉で、シーン含め一言でこのメッセージを解釈すると「自分自身であれ」という意味になります。

同じ場面でポローニアスは再度「偽ることなかれ」とも説きます。

欺瞞と嘘で作られた王国の住人である登場人物が放つセリフですが、ポローニアスもレアティーズもそれぞれの企み故に命を失うのがシェイクスピア風の皮肉として織り込まれています。

 

名言③「弱き者、汝の名は女なり。」

この名言も有名で、ハムレットが自分の考えに深く浸る五つのシーンの一番最初に出てくる独り言になります。

彼が言う「弱き女」とは母親のガートルードに向けた言葉で、国王の急死をさほど悼むことのないまま王の弟であるクローディアスと再婚した彼女を責めています。

この場面でハムレットはさらに動物や獣も番をすぐに捨てることはないとまで言い切り、自身の母親の行動に対する怒りと困惑を表現します。

 

名言④「金を貸せば金も友も失う。金を借りれば倹約が馬鹿らしくなる。」

当時や現代、世を問わず真実として刺さるこの名言は、宰相ポローニアスが息子のレアティーズにかける言葉です。

ポローニアスは「人にお金を貸す」のは返してもらえないリスクがあるのでしてはならないことの一つと教えつつ、貸した人物との絆を失うことになる可能性があるとも伝えます。

さらに彼は礼節をわきまえず、収入以上の生活をしている証拠となるため「人からお金を借りてはならない」ともレアティーズに教えるのでした。

狂気に満ちた王国の中、一人の父親として息子に正しい道を示すまっとうなシーンの一つでもあります。

 

名言⑤「良い・悪いというものは無い。考え方によって良くも悪くもなる。」

ハムレットのこのセリフは、彼が二人の友人と一緒にいるときに出てきます。

言葉通り、物事を見る視点や受け取り方次第で多面的な意味を持つようになると語ります。

これは国王となった彼の叔父クローディアスが秘密裏に行った悪事を指しますが、クローディアスはその不正により得た国王という地位と、王国から逃れることができなくなったというハムレットが持つ見方を、私たち観衆が知ることができる場面です。

この時ハムレットと会話をする友人二人、ローゼンクランツとギルデンスターンはクローディアスの息のかかったスパイであり、ハムレットが果たして狂気を演じているのか、完全に正気を失ったのかを知るために遣わしたのでした。

ハムレットの発言でクローディアスは狂気の真偽は判明しないものの、彼が精神的苦悩の中にいることを知ります。

 

名言⑥「このデンマークでは何かが腐っている。」

ハムレットの物語初期に出てくるこのセリフはまるで今後起こることを予期しているかのようにも聞こえます。

亡きデンマーク国王の亡霊を一人で追っていったハムレットの背中を見ながら、彼の友人であるマーセラスが口にするセリフです。

亡霊が出現する事態に陥っていることを指しているように見えますが、同時にデンマークとノルウェーとの敵対関係についてもいうことができます。

「腐っている」のはクローディアスの不正な王位継承から物語中に登場する疫病、そして多用される毒を象徴するセリフです。

 

名言⑦「狂ってはいるものの筋は通っている。」

物語の中でこの名言が登場するのは宰相ポローニアスとハムレットが対話している場面ですが、実はポローニアスは観客である私たちに語りかけている形となります。

ハムレットの狂気を目の当たりにしながらも、彼の狂気には理解できる理とそこに至る工程があることをポローニアスは見破ります。

ただ一点ポローニアスが間違っていたのはハムレットはオフィーリアに対する恋心で正気を失ったのだと思い込んだことでした。

ハムレットがわざと狂ったようにふるまっているのは叔父に復讐するための偽装だとまでは考えなかったのです。

 

名言⑧「ああ、ヨリック、かわいそうに。ホレーシオ、こいつのことはよく覚えている。」

ハムレットとホレイシオはロンドンからデンマークへの帰還中に墓場で二人の墓守と話す機会を得ます。

その時に子供時代ハムレットを世話したことがある道化師のヨリックの頭蓋骨を発見し、友人に彼のことを話すセリフとして有名です。

この名言はセリフよりも嘆きながら頭蓋骨を掲げるハムレットの象徴的な画で人々の記憶に残ることとなります。

物語を通してみられる減衰、腐敗、死、がこの場面で初めて目に見え手で触れられる形で登場するのです。

女性がどんなに化粧を顔に施しても、最後はこのヨリックのようになるのだとハムレットは悟り、生に対する虚無感を表現します。

カエサルやアレクサンダーのように歴史の偉大な人物も大地に還って土となるのならば、ヨリックこそ真実を見つけたのではないかともハムレットは考えるのでした。

 

名言⑨「この天と地のあいだにはな、ホレーシオ、哲学など思いもよらぬことがあるのだ。」

この名言の背景は比較的単純で、目に見えるもの全てに理由があるとホレーシオに伝えています。

物語の序盤を振り返ると、ホレーシオ自身も幽霊の存在を否定したにもかかわらず己の目で見ることになりました。

幽霊の存在を信じなかったホレーシオもその後は、自分の認識を変えざるを得なかったのです。

シェイクスピアは懐疑的な態度で不確かなものに理屈を立てても、自分自身が体験しないと見解は変わらないのだというメッセージをこのシーンを通して人々に伝えています。

未知なるものに対し恐怖を抱くのは当然ですが、拒否する必要まではないという意味を含んだセリフです。

 

名言⑩「星々が炎であることを疑うのもいいし、太陽が動くことを疑うのもいいし、真実を嘘つきだと疑うのもいい。けれど、私の愛だけは疑うな。」

ハムレットがオフィーリアに宛てた手紙に書かれている内容が、この名言です。

一見ロマンチックなラブレターに見えますが、この一節だけでハムレットが真に狂っているかどうかの謎をさらに深めることになります。

当時は夜空に浮かぶ星は炎で燃えているので光っていると考えられており、天動説が真理でした。

ざっくり言うと「これらの真理を疑ってもいいけれど、自分の愛はそれらを超える事実である」という内容になりますが、絶対的宇宙の法則以上の真実を語るほどハムレットはすでに自分を失っていると解釈されてしまうからです。

物語とは関係なく、この名言は文学の歴史でもロマンチックな告白として、言葉だけの意味を取り人々に愛されるものとなっています。

 

シェイクスピア「ハムレット」の名言についてまとめ

もともと聞いたことがある名言でも、その背景や本当は何を意味しているかを知ると違って響いてくるのではないでしょうか?

もしあなたが気に入っている名言があるなら、どうやってその言葉が生まれたかを調べてみるのも文学を知る醍醐味です。